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堕ち逝く空
第1章 突然の手紙
 その言葉に綾香は瞳をまるくし、それから瞬いた。

「何かまずいの?」

 その返答に彰義は顔面からスライディングしたくなる。幼馴染と恋人はまったく違う事実を分かっていない。それとも分かっていて、誘っているのだろうか。--しかし幼馴染の時間が遠く長くにある彰義は、直感で前者であると仮定した。

「ずっと好きだった女の子が隣にいる。親が出かけて居ない。二人きり…」
「うん?」
「うん? じゃないよ! 俺だって男なんだぞっ」
「うん?? よく知っているよ?」

 それは小さな頃なら、よくある風景。一緒の風呂に入っていた事実をさしている。肝心なところはよく分かっていない綾香に、涙が出そうな彰義は脱力しながら言った。

「俺がお前襲っちまうかもって話をしてんだけど!?」

 顔を真っ赤に染めて言わなければ、緊迫感が追加されていたかもしれない。しかし綾香は言葉の意味を脳で吟味して、真っ赤になって俯いた。

「あああああ…その…そういう…意味なのね…」

 思わず両手で顔を隠して頷く。顔立ちが派手めで綺麗な友達の中には、既に彼氏もちが多く。それなりにそういう経験者も多く居る。もちろんその彼氏との話なんかも聞いたりしている綾香は知識だけはあった。
 急にそれを思い出して、より頬に熱がいくのを感じる。自分たちがそういう仲になったことを思い出した訳ではけしてない。綾香はチラッと視線を彰義に向けると、意味が通じたことに、なんとも言えない表情を向けていた。

「彰義も…したいの……?」

 男なんだし、思春期だし、本能では深く頷きたいところだ。しかし綾香は予想以上の怖がりで、それを踏み敷いてまでかと言われると迷う。もちろんそういう願望もない訳ではないが、--大切にしたいとも思っているのだ。

「急ぐ訳ではないけど…煽られるような真似されると、困る」
「それはつまり…」
「セックスしたくなるっ!!」

 やけくそとばかりに言葉にした彰義に、綾香は殴ってしまおうかとも思ったのだが、それはさすがによくないと首を振った。
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