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堕ち逝く空
第2章 始まりは静かに…
 くすくすと笑う声が遠くに聞こえる。男の掌が内ふとともを柔らかく撫でた。
 足がもぞもぞとなる。閉じたい、閉じたくない、閉じたい、開きたい…。自分で自分の身体の変化が怖い。男の手も怖い。左の男が乱暴に揺さぶり、それが痛い…痛い筈だ。なのに綾香の声はくぐもっていても感じていた。
 それに絶望に似た感覚が全身を襲い、飽和に飽和を重ねる思考が置いてけぼりになっていく。助けを求めたくても、背の低い綾香は囲んだ男達の影に隠れて出ていない。ぐらぐらとする視界が一瞬で、緋に塗れ変えられる。男の手が遠慮もなく綾香の大切な部分を包んだ薄い布の上から触れた。

「もう、ぐっしょりと濡れている…」
「んぅ、んぁ…っ」

 パンツの上から数回擦った指を、綾香の目の前に出す。ギッと羞恥で上がる熱を堪えて睨みつける。しかし男はくすくすとただ笑うだけだ。そのまま「そう」と呟くと、隙間から指を二本。薄皮に守られた過敏な箇所を一気に捲くりあげた。
その衝撃に身体を後ろにずらしたいのに、それを後方の二人が許さない。信号停止で止まっている時間が終わり、次の駅に到着したらなんとかして飛び降りたい。そう思うのに、背も小さな綾香は男たちに完全に埋もれてしまい周囲の目に映らないのだ。それを認識している指は、柔らかに中指で弧を描く。触れているのか触れていないかのソフトタッチに、喉の奥で殺したい声は食い縛ろうとする唇から熱い吐息として漏れた。

「ふぅ…んぅ…」
「感度は流石というべきかな? そうだね、コレだけ濡れているならイきたいかな?」

描く弧を左右に振動を始める。乳首を捏ねる男の鼻息が綾香の耳朶を舐った。
ゾッとする。ーー全身から血が引くような錯覚があるのに、振動を与える指先に全身の血液が沸騰しそうな感覚に目眩がした。
助けて、という声。止めていう声。…もっとを願う声。様々な自分の声が脳内で不協和音を響かせている。その間も男の繊細とも言える指からの振動に腹の奥で熱量が膨らんでいく。

「気がついている? 自分で足を広げているよ?」

カッと羞恥に頬が赤くなる。初めての経験に身体が本能が翻弄されていく。素直な性だと言われ、強く男を睨みつけた。

「君は正常だから安心するといいよ」

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