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堕ち逝く空
第1章 突然の手紙
 よりにもよって恋人となる、そんな特別な瞬間すらもこんなギャグチックでいいのだろうかと不安が挨拶していた。
 それでも他の誰よりも、近くにいる自覚はある。彰義の顔を見上げると、茹でた蛸の赤さに顔を染めていた。

「本当に私でいいんだね? 後悔とか聞かないよ?」
「後悔するなら、とっくにしている」

 唇を尖らせて眉間を寄せる。それはそれはそれで、どういう意味かと問いたいが、不毛であるのは分かっていたので、とりあえず口には出さずに軽く睨むことで、意思表示をしてみた。

「あ!!」

 そうだ、すっかりと忘れていた。
 鞄の中で不気味な気配を醸し出す手紙の存在を。
 綾香は鞄を掴んで、中を漁るとすぐにその一見にして重厚な手紙を持ち上げる。彰義もその似合わない手紙を、視界に入れると不思議そうに綾香と交互に見た。

「なんだ? それ??」
「今日、いきなり私に『兄』が居て、その人が私にって渡された手紙…」

 眉間を寄せる彰義が、綾香の持つ手紙をよく見ようとする。腕をいきなり引っ張られ、身体が重力に逆らうより先に、彰義の腕の中にすっぽりと納まった。

「………」
「………表にも裏にも何も書かれてはいないな…」

 よほど手紙に意識が集中しているのか、彰義はそのままの姿勢で手紙を表裏に幾度か返していた。しかし腕の中で拘束されている姿に、意識がこっちに向いてしまっている綾香にはどうしていいか分からない。普段でもこれほど接近することは、大きくなってからは無かった。
 動揺する綾香は、とりあえずこの羞恥から逃れようとする。両腕でそっと彰義を押し返すと、そこで気がついたのか--途端に、彰義の顔が一気に真っ赤に染まった。

「うわぁー!」
「うわぁーって何よ! 自分が抱きついてきたくせに…」

 まるで化け物でも見たような反応だと、綾香が言えばそれは違うを繰り返す彰義。忘れられた手紙が一通。絨毯の上にはらりと落ちた。






 数分の後。とりあえず落ち着きを戻そうと、彰義が先ほど母が持ってきた飲み物を手に取る。そうするとようやく綾香も落ち着いたのか、習うように飲み物を手に取った。
 既に時間の経過で、うっすらと冷めてしまったものの。興奮していた身体には丁度いい感じになっていた。
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