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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第3章 転機
 突然、仔猫が止まった。
 徳姫は初めて、現実に引き戻され、周囲をゆっくりと見回した。少し手前に見えるのは小さな茶室らしき庵だ。随分と奥まった人気のない場所まで来てしまったようだ。
 正面の上に〝無想庵〟と雄々しい達筆で描かれた額が掛かっている。屋根は藁葺きで、一見すると、鄙びた農村で見かけるような小さな民家を装っているようだ。
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