パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 花冷え

　しかし、そのひと言は徳姫だけでなく、他ならぬ保邦の身の破滅を意味する。また、心優しい蓮心尼をも哀しませることになる。
　良人である邦昭と仲睦まじくせよと諭す蓮心尼を責められない。蓮心尼は徳姫のゆく末を思えばこそ、心からそう勧めているのだから。
　確かに、蓮心尼の言うように邦昭を愛せれば、いちばん良いのだろう。けれど、物事、いや、人の心は思いどおりにはゆかない。