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第4章 花冷え

　蓮心尼は、徳姫にとりあえず当分は二の丸に居ればよいとさえ言ってくれた。自分の眼の届く場所にいれば、邦昭も無体な真似はできないだろうと優しい笑顔で言った。
　蓮心尼の御前を退がった後、徳姫は用意された部屋に身を落ち着けた。
　その夜、葛木と久方ぶりに枕を並べて眠りながら、徳姫は、なかなか眠りにつけなかった。身体は泥のように疲れているのに、頭の芯は冴えきっている。
　考えなければならないことが山ほどもあるような気がした。