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執事はお嫌いですか?
第2章 主人の執事は先輩です
目の前には色とりどりの食事―――。
カチャリとナイフとフォークを動かし、口に運ぶ。
「やっぱり美味しい・・・」
俺はあまりの美味しさに口を開いた。
「ありがとうございます。
今日も斎様のお口に合ってよかったです」
食器を手に、満足そうにするクロ。
俺は、嫌々でクロに連れられてきた屋敷のリビングで、クロが作った朝食を口に運んでいた。
ふわふわオムレツにほうれん草巻きソーセージ。
それにコンスープに甘酸っぱいジャムトースト。
マグカップに入った、香りのいい紅茶。
今日も文句ひとつ無い完璧な朝食だった。
「クロお前、料理できるんだな・・・」
「これでも執事ですので。料理は基本中の基本です」
「そうか・・・」
にっこりと嬉しそうに微笑むクロは片づける手際も良い。
俺の思っていた執事と違い、かなりレベルが高いみたいだ。
普通のお世話くらいかと思っていたんだが――。
「斎様。
ゆっくり味わって食べていただけるのは嬉しいのですが、そろそろ着替えを」
「あ、ごめん」
俺は慌てて立ち上がり、ボタンに手をかける。
「今日から新しい制服です。
春から夏まではブレザーを・・・」
クロは事前に準備しておいたのか、すぐ近くに置いてあった白シャツを手に取ると俺の腕を上げ、通す。
「んッ・・・」
冷たい・・・・
シュルルと布と肌の擦れる音が時折聞こえる。
「夏からは半袖にネクタイ。
秋から冬間際までは、シャツにカーディガンを合わせます」
綺麗な指が、キュッとネクタイを締め、襟を整える。
「クロ、本当に主人の着替えも執事がするのか?」
「はい。斎様は何もしなくていいんですよ」
「そ、そうなのか」