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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
5
「あ、斎。いきなり走って行くからびっくりしたよ。
榊先輩、見つけたんだね」
俺は斎と手を握りながら、はしゃいで見えた場所に向かうと、水槽から顔を上げてこちらに向けた春様がニコニコしながら待っていた。
「ごめん。
クロが来るの見えて、行ってみたら何か顔色悪かったから・・・」
斎が、ちらりと俺の顔を見てくる。
それに対して、微笑んで“大丈夫”という事を伝える。
「榊先輩大丈夫ですか・・・?」
春様も先ほどの斎と同様の表情をして、訊ねてきた。
「はい。全く心配ないですよ。
ただ、ちょっとぽーっとしてしまって――・・・
それより・・・すみません、お待たせしましたか?」
「いえ、全然。
斎、見入ってたので・・・」
春様は、いつの間にか再び水槽に釘付けの斎を見やった。
ぐいぐいとさり気なく引っ張られながら、俺も視線を移す。
「楽しんでもらえて、嬉しい限りです・・・」
心底楽しそうな主人の顔を見て、気の緩みから思ったことを、ぽつりと呟く。
これで少しは感じる距離を、縮められただろうか・・・。
少しは縮んだ気がしなくもなくも・・・。
と、そんな自問自答をする。
「榊先輩は本当に斎の事、大切にしているんですね」
春様が、俺の呟きに優しく話しかけてくる。
「――・・・まぁ・・・執事ですし――・・・それに、守りたくなってしまうんです。
見てると、危なっかしくて――。
さっき駆け寄って来た時、足元軽く滑っていたので肝冷えました・・・。
胃もキリキリです」
身振りで、胃の辺りを摩った。
それに対して春様は、けらけらと笑った。
「はははは。
だから、顔色悪かったって斎言ってたんですね~・・・
確かにヒヤヒヤしますね――あの綺麗な顔に傷付くかと思うと、後が怖い・・・」
「はい・・・」
「あ、斎。いきなり走って行くからびっくりしたよ。
榊先輩、見つけたんだね」
俺は斎と手を握りながら、はしゃいで見えた場所に向かうと、水槽から顔を上げてこちらに向けた春様がニコニコしながら待っていた。
「ごめん。
クロが来るの見えて、行ってみたら何か顔色悪かったから・・・」
斎が、ちらりと俺の顔を見てくる。
それに対して、微笑んで“大丈夫”という事を伝える。
「榊先輩大丈夫ですか・・・?」
春様も先ほどの斎と同様の表情をして、訊ねてきた。
「はい。全く心配ないですよ。
ただ、ちょっとぽーっとしてしまって――・・・
それより・・・すみません、お待たせしましたか?」
「いえ、全然。
斎、見入ってたので・・・」
春様は、いつの間にか再び水槽に釘付けの斎を見やった。
ぐいぐいとさり気なく引っ張られながら、俺も視線を移す。
「楽しんでもらえて、嬉しい限りです・・・」
心底楽しそうな主人の顔を見て、気の緩みから思ったことを、ぽつりと呟く。
これで少しは感じる距離を、縮められただろうか・・・。
少しは縮んだ気がしなくもなくも・・・。
と、そんな自問自答をする。
「榊先輩は本当に斎の事、大切にしているんですね」
春様が、俺の呟きに優しく話しかけてくる。
「――・・・まぁ・・・執事ですし――・・・それに、守りたくなってしまうんです。
見てると、危なっかしくて――。
さっき駆け寄って来た時、足元軽く滑っていたので肝冷えました・・・。
胃もキリキリです」
身振りで、胃の辺りを摩った。
それに対して春様は、けらけらと笑った。
「はははは。
だから、顔色悪かったって斎言ってたんですね~・・・
確かにヒヤヒヤしますね――あの綺麗な顔に傷付くかと思うと、後が怖い・・・」
「はい・・・」