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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
同情してくれる春様に好感を持ちながら、互いに顔を見合わせ軽く笑い合う。
やっぱり幼馴染的な存在はよくわかってるな・・・と身を持って感じた。

「斎様、お菓子見に行きましょうか。
買い物、付き合ってくださったお礼です。好きなの選んでください」
「わかった・・・!」

ぐいぐい引っ張っていき、お菓子コーナーに着くと、ぐるぐると楽しそうに色々なお菓子を見だす。
その姿を見守りながら、俺と春様は自然と斎のことについて話を始めた。

斎の性格や癖。
一緒に居る時間が濃く、ある程度長くないとわからない様な話題を出し合い、質問、応答などを繰り返した。

やはり春様は俺が把握している以上に斎の事をわかっていて、扱い方も慣れていることが、話す内容や、話し方で十分わかる。

そして何より、話しやすく、気取らない話し方で接しやすい。
そんな春様に対して、少し警戒が溶けたような気がした。















「――・・・榊先輩、さっき斎が言ってた“顔色悪かった”って他にも理由あったりしますか?」

なだらかな流れで話を続けていると、唐突に腫れものに触れる話題が来た。
一瞬にして、笑っていた顔が引きつる。

以外と鋭かったり―――

「・・・顔色の理由・・・というか、個人的に考え事していたんです」
「考えごと・・・」
「はい・・・」

この事を相談してしまっていいのだろうか・・・と一瞬戸惑ったが、何だか話しても良いような気がして、口が緩んだ。
閉ざしていることが重い悩みであることも、拍車がかかっていたかもしれない。


「――斎様のこと、知らないなぁ・・・と・・・。
今日、アップルパイ作ろうと思っているんですが――喜んでもらえるか、自身無くて――」

今思っても、やっぱり“距離がある”と感じてしまうし、斎に堂々と自分には何でも訊いてもいいと公言した自分がこれだ・・・。
勇気が出せない自分に、心底呆れる。

またも雲行きが良くない顔になって落ち込むと、春様がきっぱり言い放った。

「榊先輩、考え過ぎです」

可愛い顔で、ツンとした声が妙に重みを感じさせた。

と同時に、ザクっと槍が刺さった気分になった。

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