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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
「やっぱり・・・ですか?」
「はい。
あと、何というか、うだうだ考え過ぎです」
「う、うだうだですか・・・」

拍子付けにもう一本。と、槍がまた刺さる。

うっ・・・と言葉が詰まった。
それを言われては、何も言えないからだ。

自分がそれを良く分かっている・・・。

「思い切って色々質問すればいいじゃないですか。
好きな食べ物とかお菓子とか――。

訊くネタを考えればキリがないですが、いいと思いますよ。
コミュニケーションにもなります」
「コミュニケーション・・・」

春様からの提案はありがたい・・・。
けど――

「どこまで踏み込んでいいものか――」

語尾にいくつれ、声が小さくなった。
春様はそんな俺に対しても、またキッパリと言う。

「それは、話すことでわかると思います。
でも斎は基本地雷は無いですし、大丈夫です」

「学校で人気な、クールな先輩はどこに行ったんですか・・・?」と煽りをかけられた様な口調で、くすりと笑われた。
「以外な素顔ですね」とも付け加えられる。

「そういう・・・もんですか?」
「はい、そういうもんです。
それに、斎は榊先輩のこと気に入ってますから、何訊かれたって迷惑になんて思いませんよ」
「気に入って・・・?」

春様が口にした言葉に疑問を持つ。

「はい。
さっき、2組に分かれたときに斎が楽しそうに話してました。

榊先輩と出かけるのは2回目だって。
その時に、一緒に今榊先輩がかけているメガネを選んで、それ大事にしてくれているって。
今日だって、欲しかった抱き枕を買ってくれて、お揃いにまでしてくれて、凄く嬉しかったって。

もう、聞いてるこっちが何回『クロが、クロが――』と聞いたと思っているんですかー」
「それは・・・」

その話を聞いて、グッときてないなんて嘘は付けない。
顔の緩みを抑えるのがやっとだ。

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