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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
「大丈夫です。
斎様には比較的簡単なことしてもらうので」

クロは卵やミックスベジタブルを始めとし、数種類の野菜やお肉、冷凍パイ生地、リンゴ・・・・そして、青々としたピーマンのパックを取り出した。

「ホントか・・・?」
「はい」

「包丁で指、ザク。は一番怖いので」と後々付け加えられる。

「春くんは料理できますか・・・?」
「はい、大丈夫です」
「では、アシスト頼みます」
「任せてください・・・!」

春はクロから薄らとボーダーが入ったエプロンを受け取り、首からかけた。
キュッとリボンを結び、短い襟足を整える春の姿はなんとも様になっている。

「斎様もエプロン付けますよー」

絵になる幼馴染を見つめていた俺も、同様なエプロンをいつの間に着けられると、キッチンの方へ春と一緒に背中を押された。

「斎様は食材を冷蔵庫に入れてください。
春くんは具の準備お願いします。

あ、それと冷凍パイは入れずに近くに置いて解凍しておいてください」

クロはてきぱきと指示を出すと、包丁を取り出して手際良く切り始めた。
一品目に入れるピーマンは細かく、細かく・・・俺のことちゃんと考えてくれているのか、きざんでくれている。
ピーマン以外は普通サイズで下ごしらえをすると、サッとフライパンで炒め、牛乳と溶かした卵を流し込むとピザ用チーズをかけて蓋をした。

既に二品目に取りかかるクロに俺は食材を冷蔵庫に入れつつ、目が離せなくなっていた。

通常の男子高校生はこんなに料理ができるのか・・・?
いや・・・、今のところ俺の周りにいる人の中でこんなにも出来るのはクロしかいない・・・。
何事もできすぎで、欠点なんて一つも見つかる気がしない・・・。

そう思いつつ、横で作業をしている春を見てみると、ボウルの中でひき肉と豆腐を混ぜている春も中々の手際で、なぜに目分量で塩コショウを振れるのか俺にはわからない・・・。

俺はというと、出してあった食材を冷蔵庫に入れ終え、パイは作業台の上へ出して自然解凍。

「斎ー。終わったら具、形作るのを手伝ってー」
「んー」

春に呼ばれて行ってみると、上手く具は混ざってて、それを程よい大きさにしてトレイの上に何個か並べてあった。

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