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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
「入れたのって、キッシュ・・・だよな・・・。
本当に入っているのか?」

まじまじと目の前のキッシュを見つめる。

特にピーマンが目立っているわけでもないし、むしろ姿がわからない。
クロはどうやって・・・?

「確かにキッシュに入れましたよ。
わからないのは、入れる際にかなり小さくみじん切りにして、卵とウインナー、ミックスベジタブルと一緒に混ぜたからだと思います。

気づきませんでしたか・・・?」
「うーん・・・入れているのは見ていたからわかっていたけど――。
食べてる時はなんとも・・・」

普通に美味しいキッシュ・・・。
それがピーマン入りで、俺はすんなりと食べれている・・・・。

食べれていることはいいんだが、なんかクロに騙された気分だ。

「それなら、よかったです・・・。
このまま斎様がピーマンを食べれなかったらどうしようかと思っていたんですが・・・なんとか峠を越えた気がします」
「・・・そこまで心配するか・・・」
「はい、執事ですから――」

クロは決まり切ったように言うと、席について「いただきます」と一言。
自ら作ったおにぎりを一口食べ、頬を緩ましている。

なんというか・・・クロには見守られている感覚になるな・・・。

俺はこのクロの心配っぷりは、ただの過保護なのだと最近確信した。

要するに面倒をみたいというわけなのだと・・・。
――まあ・・・クロが言った通り、執事だからな。

にしても、やっぱり過保護すぎる・・・?

ふと箸を止めて、そんなことを考えていると「斎食べないの?」と春から声がかかった。

「あ、ごめん」
「斎様、冷めないうちに食べてください。
おかわりもたくさんありますからー。」
「うん」

俺は箸を持ちなおすと、箸を伸ばし、ピーマン入りのキッシュを口に運んだ。

「・・・やっぱりピーマンの味しない・・・」
「ん?キッシュがどうかしましたか?」
「ううん、何でもない」


普通に美味しいな・・・。と内心言葉を後付けをすると、俺はクロたちと一緒にわいわいと特別な夕食を囲んだ。


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