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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
「これを貼って・・・」

ペリリ――と次々めくって、首元、胸元、腰回りなど、タオルで隠せないところを中心に貼っていく。
これが、お泊まり会の事前に練った作戦――。

その一。
絆創膏を使って、キスマークを隠し通す。

絆創膏なら軽い傷が出来た程度で、あまり不審がられないはずだし、春なら普通にスル―してくれるだろう。
ただ難点なのが、俺の肌が絆創膏の色より少々白くて馴染めているか心配だ。

「まあ、あの春だし・・・いいよな・・・」

ささっと箱を直し、服装を整えると、部屋を出て風呂場へ向かう。
その途中、バスタオルを抱えたクロとすれ違った。

やばい・・・。

クロは色々と鋭いので、念のため首元をさり気なく抑え、通り過ぎる。

ドク・・・。

ぱちっと目が一瞬合うと、すぐにクロはにっこり笑いかけた。

「ごゆっくり」
「ん・・・」

できるだけ、自然に――。

俺は笑い返すと、そそくさと足を進め、脱衣所の方へ曲がった。
死角へ入ると途端に、トサッ――と体を壁へと預け、ゆっくり深呼吸。

上手くいったか・・・?

胸を押さえて、自問を繰り返し、息を整えようとする。
それでも、胸は高鳴るばかりで乱れる。

――それは、あのクロにこんなことしてるってバレたら、ほんの一言で終わるようなそんな簡単なものではないことを知っているから・・・。

甘く見ていると、襲われかけるということは既に俺は十分体験済みである。

・・・あの時のことを思い出すと、俺の肌へ吸い付く様な唇の感触や、口内の舌の混じり合い、ナカで不規則に動く指が鮮明に――・・・。

「――恥ずかし・・・」

俺は手のひらを、火照る頬へ当てて溢れ出る感情を隠した。

何で自分から思い出してるんだ・・・俺のアホ・・・。

「忘れよう忘れよう」と軽く頬をひと叩きして俺自身にきつく決め込むと、奥の方から「斎ー?」と幼馴染の響く声が聞こえてきた。

「あ、今行く!」

俺は返事をすると、ボタンに手をかけつつ、「自然に自然に・・・」と自己暗示を続けた。


























































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