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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
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「斎、湯船浸からなくてよかったの?」
「うん・・・」

俺は濡れた髪にそっとタオルをかけた。
横では、春が欠伸をして着た服を整える。

「少し、のぼせてたから・・・」
「大丈夫?」
「うん」

少し頭を絞ったからなのか、あやふやな視界のまま返事をする。
俺は、ぽかぽかする体に手で仰いで風を送った。

・・・ふらふらする・・・。
お風呂で考えごとするんじゃなかったな・・・。

「ごめん、春。先に俺の部屋行ってて・・・」
「わかった」

春は「待ってるね」と一言残すと脱衣所から出て行った。
俺は、フラっと立ち上がると、そそくさと窓の方寄って夜風に当たり、思い耽った。

もちろん、クロのこと――。

クロの考えや、思い、俺への感情・・・。

最初から読めないとは思っていたし、最近わかってきたことも少しずつだけど増えてきた。

だけど、このタイミングで“欲情”なんて言われたら――。

「ふりだしじゃんか・・・」

ヒュウウ――と冷えた風が吹いて、腕に貼った絆創膏が揺れた。

「防水じゃなかったのか・・・」

溜息をついて、ふやけてしまったのを剥がすと、赤い印が顔を出した。

「ッ・・・・」

今一番見ちゃいけなかったものかも。

俯いて足元を見ると、ふくらはぎの所も、太ももの所も、わき腹の所も――すでにふけやけしまっており、剥がすはめになった。

一枚一枚剥がすごとに、クロとのキスの感触、舌触りを思い出してしまう。

『――いや実は、榊先輩、男子生徒とキスしたらしくて・・・』

キス・・・。
クロにとっては、この印もたかがキスマークなのか・・・?

「あ~・・・!もう、わからん・・・!
というか、こういう時に春の話思い出す俺もわからないな・・・!」

まただ、このモヤモヤする感じ。

タオルでグシャグシャに頭を掻く。
と、ガラガラ――とドアが開く音がした。

「斎・・・」

聞き慣れた声がして、鈍い体で振り返る。
焦った様子のクロが立っていた。

「斎、大丈夫?」

敬語じゃない。
学校の先輩でも、屋敷の執事でもない。

本当に二人っきりの時だけの、ほぐれた話し方――。

「ん・・・大丈夫だ」

なぜか上手く笑えなくて、自分でも考えを引きずっているんだと思った。

当たり前か・・・。
今さっきまで考えてたんだし、クロのこと。

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