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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
「・・・印?」
「うん・・・印。
斎覚えてる?初めて会った時の手の甲にしたキス」
「印・・・キス・・・―――!」

思いだすだけでも恥ずかしい出会いだ。
今考えても、跪いてキスは今時しないだろう――と一人で納得する。

「そう、あれ。
あれなんだけど――。

ずっと形に残したくて・・・記憶には残るけど、やっぱり薄れていくものだし――。
たくさん、斎は俺の主人なんだよってこと残したくて――。
ごめんなさい」

しゅんとした顔で言うクロは、珍しく恥ずかしげに俺の首元に顔を埋めて隠した。

それでこのキスマークの数々か・・・。
クロなら、やりかねないな・・・。

俺は妙に内心納得してしまい、驚きというよりは、クロらしいワケで呆れてしまった。
その中には、徐々にクールな形が俺の前で崩れ始めているクロを可愛いと思うのもあるかもしれない。

それに、それほど大切な印を隠されたら、傷つくよな・・・。
反省しよう・・・。

もう一度自分を戒め、一人で決意する。

「理由はわかった・・・。
だったら、わからないところに付けて・・・ほしい」

言ってみると何気に恥ずかしくて、すぐさま目を逸らしてしまう。
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