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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
「――!
付けて・・・いいの?」
「知らないうちに、わかりやすいキスマークが、どんどん濃くなっていくよりは全然――」
「わかった。なら――」
クロはそう言うと、俺を離して顔を下へ下へ、下ろしていった。
「え、え?」
まだ下着しか履いていないところで動きを止めたかと思うと、履いているボクサーパンツの裾を人差し指でクイっと上げ、太ももの裏にちゅう――と強くキスするように肌を吸った。
「はぅ・・・何してッ!」
「ここなら、斎と俺しか見えない」
顔が離れ、そこを見てみると、確かに裏側で見つけるにはしっかり見ないと見つけられないくらいの位置に、その印は付けてあった。
付けたばかりでほんのりと赤い、小さな印――。
「これからはここに上書きしていく」
「いつ上書きするんだよ・・・」
真新しくできたキスマークを撫でながら俺は言う。
「うーん・・・。
決めてない。消えそうな頃合に上書きする」
「じゃあ、クロが付けたいと言ったら付けるということか・・・?」
「そうだね」
「うぅ・・・」
今後のことを想像しても、まるっきり襲われている場面しか出てこない。
約束してしまったから、拒みようにも拒めない――。
さすがに甘すぎただろうか?
「クロはずるい――」
「斎も十分ズルイよ・・・」
項垂れる俺を、ぎゅうっと再び抱きしめ、クロはそのまま俺の顔を自分の胸元に埋めさせた。
なぜ、また抱きしめられるのかはわからなかったが、傷つけてしまった分、代わりとしてなすがままでいた。
「クロの匂いがする・・・」
ゆっくり、ゆっくり呼吸をすると、優しい、クロの匂い――。
すっかり慣れてしまって、今では傍に居ていつも香る安心する匂い――。
目を瞑って呟くと、いつの間にか、一段とぬくもりが増した。
「やっぱズルイ。
ズルイよ」
感じたと同時に、クロの言葉が俺の耳元で呟かれ、もう一度少し腕に力を入れられる。
そして、また、ドクン。と俺の中で揺れ動き始めた気がした。