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執事はお嫌いですか?
第2章 主人の執事は先輩です
学校の登下校は基本徒歩だ。

別にタクシーとかバスで行くほどの距離ではないし、何より送ってもらうのが嫌だ。
裕福だからといって、特別扱いされるのが好きじゃない。

それに今日からはしぶしぶではあるが、クロと一緒の登下校だ。

「斎様。
学校に着いたら、私は態度を変えます」

クロは歩きながら珍しく神妙な顔つきで言った。

態度を変える?

「それは、どういうことだ?」
「私は、普通の生徒として学校に通いますので斎様のことは、九条斎くんという一人の後輩として接します。
特別扱いはしません」

なるほど・・・そういうことか。

「そうか。
まあ、その方が俺にとってもいい」

何分クロから離れて休まる時間が欲しかったし、入学当初から最上級生と親しいと周りも違和感を感じるだろうから俺にとっても都合がいい。

「そうですか・・・。
でしたら問題ないですね」
「ああ」
「では、がんばってくださいね。
あ、後――」

クロは急に立ち止まると、じっと見つめてきた。
つられて俺も慌てて足を止め、見つめ返す。

「・・・なんだ」
「できるだけ、学校の不良たちには気をつけてください。
色々と面倒なので――」
「ああ・・・」

不良・・・?

風紀が乱れた噂も聞いたことがないし、それになかなか評判の良い学校だと両親も言っていた。
倍率も甘くは無かったから、受験勉強だって真剣に取り組んで挑んだレベルだ。

そんな学校に、それほど警戒するほど危険な人が居るのか?
後々聞いても俺は別に近づく予定は無かったが・・・。

「いいですね、斎様」
「ん・・・」

クロはなぜか念入りに言うと、再び歩き出した。

うーん・・・そこまであのクロが言うとは。
ちょっと気になるな・・・。

俺は、登校前と打って変わって気持ちを浮き立たせるとクロに付いて行った。

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