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執事はお嫌いですか?
第6章 主人と執事は翻弄し、進む
「はしゃぎ疲れというやつですね。
可愛らしいです」
「うる・・・さい・・・」
「ふふ・・・眠たいんですね――」

心地よく揺られながら、寝ぼける目で自分の体を見ると、しっかりと寝巻は着ており、ご丁寧にチェックのタオルケットまでかけられていた。

こういう所がしっかりしてるんだよな――。

「もう夜遅いので春くんには事前に事情を説明しておきました。
今帰りますと、多分春くんは既にお休みになっていて、起こしかねません。

ですので、今夜は私のお部屋でお休みになってください。
ベッドのサイズも斎様のとそう変わりはないと思うのでスペース的には問題ないと――」

スラスラとクロの声が聞こえ、俺は眠たい目をそっと閉じて聞き流す。

そうか・・・春は寝たのか・・・。

アップルパイ、楽しみにしてただろうに・・・。
食べるのは、明日の朝だな・・・。

俺が寝なかったら、久しいし積もる話もたくさんあったに違いないな――。

なんてポツポツと考え、クロを見上げた。

「――では、よろしいでしょうか?」
「・・・?何がだ?」
「斎様が私と一緒に寝ることです」
「一緒に?」
「はい」


一緒に―――?

一緒に・・・。

一緒に。


「一緒に!?」
「はい」
「何でだ・・・!」
「先ほど説明した通りです」
「聞いてないぞ・・・!」
「斎様に説明すると長くなるので、もう話しません」
「おかしいだろ・・・!」

「離せ~・・・!!」と疲れ切った体で頑張って抵抗してみる。
だが、いつも通り、いや、以前より全く抵抗できていなかった。

「斎様・・・静かにしてください。
お疲れなのですから・・・ゆっくり、私に甘えてください」

クロは呆れた顔をすると、ちゅ――っと俺のおでこにキスを落とした。

「クロっ―――」

俺はポポポ!と頬を染め、ギュッとタオルケットを握って顔を埋めた。

「斎様・・・?」
「なんでもない・・・!」

なんでこんなにも毎回照れて、ぐるぐる焦って、また照れて――。

「今日はやけに素直ですね?」
「うるさい・・・馬鹿クロ」

クロと話した時の最後。

ドクドクと何かが高鳴って、揺れ動いて、何かが違っていた。

今もそうだ・・・。

なのに、こんな状態で一晩、一緒に寝れるわけがない。
俺の心臓が持たない・・・。

さっきの出来事で一体何があった・・・俺は・・・。
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