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執事はお嫌いですか?
第2章 主人の執事は先輩です
「い、いえッ・・・!」
緊張して声が大きくなる。
今まで会って来た年上の人とは違って、楓先輩は男性だけど何というか全然普通の男性みたいにガッシリしてなくて線も細い様だし、笑うとタレ目気味な目がもっと艶やかな印象を増大させてて。
香りもタバコなんかじゃなくて、ふわっと甘い匂いが香ってきそうな――お兄さんというより、お姉さんの印象だ。
なんだか、普通に褒められるより恥ずかしい。
「ふふ。斎可愛い」
優しい笑いで見つめられる。
かっこいいというより、美人な先輩だ。
ぽーっとしてると、慈先輩が教室の時計を見て訊ねてきた。
「そういえば、斎。お前入学式じゃないのか?
もう終わっちまうぞ」
金髪をゆるめに遊ばせた頭をかきながら、不思議そうにこちらを見てくる。
金髪にシルバーアクセサリーだからさっきは怖い印象だったけど、少し戸惑っただけで普通に優しい先輩みたいだ。
楓先輩とは違い、全体的にガッシリしているし、目鼻立ちがくっきりしてかっこいい先輩だ。
「え、本当ですか!
ギリギリ間に合う予定だったのに・・・」
先輩たちを観察していた俺は、途端に慌てる。
これがクロに知られたら相当怒られるな・・・と、嫌なほどにっこりした顔を思い浮かべて、危ない危ないと頭を振った。
「・・・大丈夫だよ斎。
そこまで壮大な式じゃないし・・・終わるまで俺たちと遊ぼ?」
慌てる俺を、クイ。と鮮やかに引っ張ると、楓先輩の膝上に乗せられた。
対面するように胸に抱かれる形になると、あの香水の香りが鼻腔をくすぐる。
あ、慈先輩と同じ匂いだ―。
その隣にドアを閉めた楓先輩がいつの間にか座っていた。