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執事はお嫌いですか?
第2章 主人の執事は先輩です
▼クロ視点


イライラする―――

斎の漂う優しい匂いから、獣のような匂いが混じっている・・・

クソ――体育館まで見送るべきだった・・・

俺は執事として主人を守らないといけない。
特にこの主人は特別・・・

俺は斎を抱えながら悶々と反省しているのに、当の本人はばたばた手足を動かしながら「クロ、おろせッ」と腕の中で暴れている。

気楽なものだなぁ・・・

「斎くん、なぜ不良に近づいたのですか?あれだけ近づくなと言ったはずですが?」
「え、えーっと・・・」

斎は冷や汗を額に浮かべて、顔を逸らした。

何か隠してる―― 

「斎くん・・・何か隠してますね」
「は、はぁ!?隠し事なんてしてないし!」

ますます怪しい・・・

俺は目的地を変え、偶然通りかかった保健室に入った。
生徒、先生一人居ない。

まあ、当たり前かな・・・

「ほ、保健室!?な、なんでこんなところに!」
「うるさいですよ」

俺はドアに鍵をかけ、斎をベットに寝かせると上に覆いかぶさる。

「く、クロ!?」
「口、閉じてください。先生が今居ないとはいえ、そろそろ入学式が終わります。
大きい声出すと帰ってきた生徒に聞こえてしまいますよ?」
「うっ・・・」

わかったみたいで口を閉じて、恥ずかしそうに俺の方をじっと見つめてくる。

「斎くんがいい子で何よりです」
「うるさい・・・」

窓から差し込む朝日でキラキラと光るふわふわの髪。
手でゆっくり撫でると、猫のように顔を緩める斎。

ポソリ――と耳に息を吹きかけるように甘ったるく・・・呟く・・・。

「斎・・・なんで不良の人に近づいたの・・・?」
「っ・・・」
「ちゃんと言って・・・?」
「・・・・・・・」

何も言わない・・・
案外口が堅い・・・

「斎・・・?」

にゅるり。と舌を這わせて耳を舐め上げる。



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