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執事はお嫌いですか?
第2章 主人の執事は先輩です
▼クロ視点


「では、今年から3年として大学進学するものはしっかり勉強に励むこと―――
就職希望の生徒は―――・・・」

つらつらと話す内容をよそに、俺は唇に手を触れ、斎のことを考える・・・

まだ斎の肌の感触が残っている―――

先生の説明を聞く様子のない生徒は、メガネをかけていないからなのか、それとも手を怪我しているからなのか、ちらちらと俺の方を見ている。

やっぱり、気になるか・・・・

シャーペンでトントン――と、『卒業後の進路調査』と書かれた紙を叩く。

「九条・・・斎・・・・・」


九条 斎―――


有名会社である九条グループの一人息子。
家系などに頼らず一から会社を立ち上げ夫婦で社長、会長となり最近では海外で仕事を展開する有名グループ・・・・


そんな、夫婦の配慮でだだっ広い屋敷に一人息子を置いてはいけないという理由で俺は雇われた・・・・

シャーペンを持ち直してカリカリと走らす。

「じゃあ、その進路調査、書いたら前に出しておいてね。以上、HR終わり」

タイミングよくチャイムが鳴る。
一斉に生徒が話しを始める中、俺は席を立つと紙と鞄を持って教室を出る。

今日の授業はこれで終わりだ。

明日から新学期―――
そして俺の人生がこの出来事で変わるかもしれない時―――

斎を迎えに行く前に階段を上って、屋上に出た。

校内に植えられた多くの桜の花が、強い春風によって舞っていく。
髪が揺れるのを感じながら、丁寧に紙飛行機を折って優しく手を離した。

「・・・・どうしようか・・・・」

紙飛行機は風に乗ると、見えなくなるところまで飛んでいく。

斎とは、これから長い付き合いになりそうだ・・・

俺はゆっくりと口角を上げた。


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