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執事はお嫌いですか?
第4章 主人と執事の迷想
何か親しげに話しかけてきたあの一年生は知り合いだったか・・・?

などど思いながら廊下を駆けていくと、準備室近くの廊下に斎の姿が見えた。

「斎・・・!」
「クロ」

自然と名前呼びをしてしまう。それくらい、一日は長い。会えないと寂しい。
俺が斎の方へ寄って行くと、一瞬暗いように見えた斎はふにゃっと安心したような笑いを浮かべた。

何かあったのだろうか・・・と少し思ったが、あまり深くは考えなかった。

「ごめん、俺のこと探していたか・・・?」
「いえ。私も用事を済ませてきたところです」

面倒な件だったけど・・・。と心の中で付け加える。

「そうか」
「斎くんは何か仕事ですか・・・?」
「ああ。先生から頼まれ物。今日日直だったから」
「お疲れ様です」
「ん」

嬉しそうにまた笑う斎に、ぐっと理性を堪える。

斎の隣は不思議と安心して、楽しい。
いつからこう感じるようになったかはわからないけど、それはいい。
幸せなら。

それでいい・・・

少し暮れてきた日に目を細めながら、いけないいけない・・・。と、ついにやけてしまう幸せ面をほぐす。

今週は学校の都合で連休だし・・・攻めてみようかな・・・?

それで更に頬を緩ます。

そうしていると「あっ」と突然、斎が声を上げた。
途端、ばつの悪そうな顔をする。

「そういえば・・・クロに言わないといけない事がある・・・」
「なんですか?」

何でもない。と言いたそうだが、そんなに嫌々で言わないといけないことなのか――・・・
宿題がわからないから、教えて欲しい。という用件だったら嬉しいが・・・

なんて変な妄想を膨らますが、言ったことはまったく違った。

「今週の連休・・・友達が泊まりに来る・・・」
「えっ!?」

二つの驚きで素の声が飛び出る。
と、同時に、パッと脳内の妄想は一瞬にして消え去った。

「すっかり言うの逃してて・・・急でごめん・・・」
「あ、いえ・・・。そうですか。
大丈夫ですよ、急いで準備します」

消え去った、斎の弄られて真っ赤になる妄想を虚しく感じながら、やっとのことで平常を取り繕う。

「ごめん・・・。
それと―――・・・」
「他に何かご要望ですか?」

尋ねると、もごもごと口を動かしだす斎。

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