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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
「まあまあ。
でも、そこまで汚くないし、物もあまり無いから、そんなにかからないかも」
「そうですか。
ならよかったです・・・
自室はさすがにプライバシーなものがあるかと思い、片付けはできませんでしたが・・・」
「別に気にするものはないけどな――」

アルバムに視線を移しなおすと、クロが覗いてきた。

「それは・・・?」
「俺のアルバム。片付けしていたら、何冊か出てきた」
「なるほど・・・なかなか気になります。
一冊見てもよろしいですか?」
「別にどれでも」
「ありがとうございます」

数冊のうちの一冊を手に取ると、その場にしゃがみこみ、クロは興味津々な面持ちで見始めた。

「可愛い・・・・」

1ページ開いて、クロから最初に出た言葉はそれだった。

「可愛いか・・・?」
「はい・・・とても・・・。
とても、愛らしくて・・・童顔は変わらないですね――」
「まぁ・・・うん」

クロが手を伸ばしたのは、小学校の高学年から中学生のアルバムだった。

数年前だし、あまり変わらないと思うけど・・・

「ふあぁ・・・・これも愛らしいですね・・・」
「か、可愛いとか愛らしいとか言うな・・・むずがゆい・・・!」
「だって・・・本当、可愛いです。
昔からこんなに色気も可愛らしさもあって――・・・・

私は出会った時、斎様がその頃中学生であっても、無理言ってでも仕えたい。と心から思ったかもしれません・・・」

余韻を残すようにゆっくりと呟くクロは、とても綺麗に微笑んでいて、呟いた言葉と共にくっきりと脳裏に焼きついた。

「・・・・まあ――
そのときのクロが好きにすればいいし・・・」
「そうですね」

返事に少し戸惑ってしまい、何気にそっぽを向いた。
クロは「いい保養になりました」と、ほっこりした。

「人で保養とか言うな・・・」
「私は毎日保養です。ありあまるほど、いつも癒されていますよ?」
「話聞け・・・!」

この時期特有のあたたかさでなのか。
それとも、ただ単に投げかけられた言葉に照れているのか・・・。

あつい・・・


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