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執事はお嫌いですか?
第2章 主人の執事は先輩です

「それと今日から高校が始まります、早く支度をしてください」

何でコイツがここに・・・・あー・・・この前から執事だったんだ――。
なんでだっけ・・・あ、そうか・・・母さんたち海外か――。

頭を搔き、ぽーっとしたままそんなことを考えてた。

今寝ぼけまなこな状態で考えても、やはり最初の考えとは相違ない。

絶対におかしいのだ。

両親が高校生になったばかりの息子に何も言わず海外へ行ってしまうなんて。
そして、この初対面である男二人と家に住むなんて。
さらに、今日までしっかりと毎朝規則正しく起こされているなんて。

「おかしい。あり得ない・・・」
「・・・あり得ない?
私は、このまま時間が過ぎて入学当初から遅刻をしてしまうことが一番あり得ないと思います。

すみません、ちょっと失礼します」

クロがそう言うと、いきなり体が浮き、動きだした。
ぎょっとして一瞬にして思考が引き戻される。

「やっと目が覚めましたか?
でも時間が惜しいので、このまま行きますからね」
「え、いや・・・!!」

クロの胸を叩きながら下を見ると、俺は背中と足へと手を回され身体を軽々と抱き上げられていた。
これはどう見ても、お姫様抱っこと言われる状態だ。

驚いて横を見れば、初対面以来の近距離で、あの光を散らした目と俺の目が合う。

いや・・・!
きょ、距離が近い・・・!

俺はあまりの恥ずかしさに無意識に顔を俯かせる。

「斎様は軽いですね。とても今日から高校生とは思えません」

嘲笑うように口元を緩ますクロ。

涼しそうな顔に軽い足取り。
見るからにこの男には苦でもない重さの様だ。

俺にとってはそれがなお恥ずかしい・・・!

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