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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
「大丈夫です、斎様のお母様から毎月生活費用はお預かりしていますから」
「でも・・・」

その費用の中で、やりくりして食事や生活用品を買っているわけだし・・・
あまりクロには迷惑をかけたくない。

すると、俺の心配ごととは裏腹に、クロはあっさりした口調で

「今日はそこまで買いませんし、費用も余裕があります。
斎様のお母様にも、斎が何か欲しいと言ったら好きなように使って。と言われています。
斎様優先なのですよ」

と笑ってくれた。

「そうなのか・・・?」
「はい。
家のベット、1人じゃ大きくて寂しそうなので、置いてみていいと思いますよ。
私もその抱き枕、好きです」
「そうか・・・!
じゃあ、これ2つ・・・!」
「え、2つも買われるのですか?」
「だって、クロも可愛いって思ったんだろう・・・?
だったら、2つ買う。
お揃いだ」

クロの部屋は、俺の部屋とあまり変わらない殺風景な部屋。
その中に和むものが1つでもあったら、雰囲気は良くなるはずだ。

それに、クロも可愛い。と思ったなら2つ置いてお揃いにすればいい。

「お揃い――」
「ん、お揃い」
「・・・・そう・・・ですね・・・。
でしたら――」

クロはそう言うと、俺が抱いている茶色のぶち柄の横に、陳列してある黒色のぶち柄を手にした。

「斎様は茶色のぶち柄にして、私は黒色のぶち柄にします。
これだったら、色違いでお揃いです」

クロが微笑む。
俺の顔に、ぱあぁぁっと笑顔が広がった。

「いいな・・・!
じゃあそれで・・・!」
「はい」

その後、クロは、他に必要なものを確認しながらレジに向かって行った。
俺は背中越しのクロの様子を見ながら、待っていた。

「斎ー。なんか買ったのー?」

その間、店を詮索していた春が戻ってきた。

「うん。
抱き枕」
「へぇ~!斎の一目惚れ・・・?」
「当たり前だ・・・!俺がさっき一目惚れして、お揃いのを買うことになった・・・!」
「お揃い・・・?
もしかして、榊先輩と・・・?」
「ああ。
クロのベットも1人にしては大きいし、クロも気に入ったみたいだったから買うことになった」
「ほぉ~・・・」

春はなぜか何とも言えない顔で「何というか・・・榊先輩と斎は、鈍い人にはわかりにくい関係だね・・・」と訳のわからないことを言った。

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