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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
さっきとは波長の違う空気に、戸惑う俺は必至に口をはさんだ。

「は、春・・・!勝手に俺の話するな・・・!
は、話しちゃいけないやつもあるから――」
「ん・・・?

いけないやつって、斎が小学生の頃に女の子に間違えられて男子に告白され、しかも中学生になっても続き、今までで計5回された話とか・・・?」
「まさにそれとかだよ・・・!」
「――春様、その話後で詳しくお願いします」
「クロ、待て、聞くな」

俺の意見は無視して、メニューを見合うクロと春。

「春様は――・・・」
「俺は斎と同じもので・・・!」
「ですね。
斎様は、何を食べたいですか?」
「・・・・テリヤキバーガー」
「了解しました」

クロは、俺の手を掴みながら、店員さんに声をかけた。

「すみません、テリヤキバーガーとオレンジジュースMサイズ3つください。
あ、それとポテトのMサイズ3つで・・・」
「か、かしこまりました・・・!少々、お待ちください・・・!」
「はい」

店員に愛想笑いを振りまくクロは、店内の女性スタッフの顔を火照らせていた。

そこは普通、店員さんがスマイルをあげるところでは・・・。

呆れ尽きた気分でクロを見ると、クロは「何かしましたかね」と言わんばかりの表情で返してきた。

絶対狙って振りまいてるだろ・・・。

こういうところが、計り知れないなぁ・・・と一層思う俺だった。



数分待つと注文した品ができたみたいで、さっそくバルコニーの空いている席へ向かった。

一面のガラスの壁の奥では、置かれた席で昼食をとる多くの家族連れやカップル、友人連れなどが見えた。

それぞれの大きな話声でガヤガヤと響く室内のフードコート内は、小さな声で話すと聞き取れないほど騒がしい。

バルコニーは、読書をする人や静かにコーヒーを飲む人、まだ小さい子供連れの人でぽつぽつと埋まっていた。

4月特有の暖かい風に吹かれながら、さっそく3人で席を囲む。
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