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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
「いただきます」

クロから渡された、食べるには準備万端なハンバーガー。
ほかほかと漂う、鼻をくすぐる美味しそうな匂い・・・。

「はい、どうぞ。
ソース、服に付かないようにしてくださいね」
「ん・・・」

コクンと喉を鳴らして、はむっと口をつける。

たっぷりの甘辛いソースにお肉。
少ししなしなとしたキャベツにマヨネーズ。
ふかふかのパン。

俺は途端にじわじわ・・・と顔を緩ませた。

「美味しい・・・」
「よかったです。
ポテトもどうぞ」
「ん・・・!」

クロは、ポテトを紙ナプキンの上に少し出すと、勧めた。
ポテトとジュースも挟みながら、もぐもぐと口を動かしては顔をほころばせた。

久しぶりに、ジャンクフード食べた・・・。
何年ぶりだろう・・・凄く美味しい・・・。

父さんが居たら絶対食べれないだろうな。と思いながら、俺はゆっくり食べ進める。

「これは――・・・

斎様のお父様にバレでもしたら、怒られますかね・・・。
でも、こんなに幸せそうな顔見たことないです」

話す内容を見知らぬ顔で食べる俺の前で、クロはほっと溜息をついた。
それに対して、春も言葉を漏らす。

「ホント、幸せそうですね・・・。

ジャンクフードは、高カロリーものばっかりですし、何かのご褒美感覚で食べさせてあげるほうがいいかもしれません。

滅多に食べれない。くらいで・・・

おじさん、いつか帰国したときに、万が一斎の体悪くなっていたら榊先輩殺されますよ・・・

斎とそっくりの気品のある顔で、想像できないほど汚い言葉吐き捨てますから・・・あの人。

そういう事態にならないように、できるだけ食事には気をつけていたほうがいいかもしれませんね・・・」
「・・・なるほど――
生き延びるためにも、頑張ります」
「頑張ってください・・・」

「ははは・・・」と乾いた笑いを起こす2人に疑問が積もるが、まさか自分の父関連の話をして苦い顔し合っているとは知らず、俺はお構いなしに一口一口の幸せを噛みしめていったのだった。


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