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ビターチョコレート
第5章 愛しさと背徳の背中合わせ。
「私は、マリちゃんみたいに、
美人じゃない。
アリサの様に色気もない。
そんな私が息抜きするには、
我慢をしない事なの。

駄まって指を咥えない。
欲しいものは、欲しいと言う。
好きになったらアプローチするわ。
駄目もとでいい。
でも、振り向いてくれたら、大事にする。

それでも別れが来たら、
きっちり別れを認められるように、ちゃんとする。
引きずらないようにね。
去る者は追わない。
離婚もしない。
上手くやるしかない。
バレないようにふてぶてしくもなる。
夫ともたまにセックスをする。
義務のようなセックスでも、
恋をする為の、アリバイには必要よ。

グッと我慢して、
ヒロとのセックスを思い出すわ。
ヒロに抱かれていると思えばいい。


不倫って、
最も難しい恋愛なの。
どこに愛があるかなんて、
口が裂けても言えないし、
自分の心が悲しいくらい正直。

因果なもんね。
知りたくなかった」


「私もよ。
知らない女性は幸せね。
不倫を嫌悪する、
無縁な女こそ、
一番幸せなのよね」

「ごもっとも!」

「私達、悪魔ね」

「うん。
悪女よ」

私達は笑い合う。
アユちゃんと、普通の友達として出会い、
家庭に不満があっても、笑い合い、
お互いの旦那の話で、悪口で盛り上がったとしても、

じゃあね!
と帰る家が温かな家庭だったらね‥‥

良かったのにね。
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