この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ビターチョコレート
第11章 正真正銘の愛。
スーツ姿のすらっと背の高い男性が、
私の様子を伺っている。

「あ、はい‥‥‥大丈夫です」

「顔色すごく悪いですよ。
あの‥‥
私、別に怪しいものじゃありません。
いつも同じ電車に乗ってまして、
同じ駅で降りるので‥‥‥‥
うまく言えませんが、
今朝はあなたが倒れそうなほど
具合悪そうだったので、
ご迷惑かもしれませんが‥‥‥‥」

遠慮がちにこの男性は言う。

全くの他人なのに、気にかけてくれる優しさ。

確かにこの男性に見覚えはある。
いつも私と同じ時間の電車に乗り、
車両も同じ日も多い。
そして同じ駅で降りる。

「お気遣い有難う御座います。
少し気分が悪くて休んでました」

「やはりそうでしたか。
あの‥‥‥あんまり顔色良くないです。
病院に行かれた方が‥‥‥」

「はい。
有難う御座います」

「私を警戒なさるのは分かります。
でも、放っておけなくて声を掛けました」

「本当にすみません。
大丈夫ですから‥‥‥」

私は泣いていた。
人に心配されたのは久しぶりだったから。

具合が悪いのもあるんだろうけど、
我慢していた糸がぷつりと切れて、
涙が溢れ出す。

ハンカチで目頭を覆い、
下を向き声を殺して泣いた。


男性は私の隣に座り、

「気分大丈夫ですか?
イヤじゃなければ、
あなたが落ち着くまで
ここに居ますから」



ずっと下を向いたまま、
声を殺して泣いた。


この人はそんな私の隣にずっと居た。
ホームの風をよけるように私に傾き、
心配そうに私を見る。

この人の隣は‥‥‥‥‥
温かかった。

優しさがじんわり伝わるように‥‥‥
/239ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ