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大蛇
第3章 睨まれた男
その夜、ルロイは不思議な夢を見た。
謎の女の声が何度も彼の名を呼んでいた。
ルロイは振り返るがそこには誰もおらず、代わりに一匹の大蛇が紅い舌を覗かせ、宝石のように冷たく輝く目で彼を睨めつけていた。
「私に呑まれてしまいなさい、ルロイ・ソガ」
どうやら、声の主はこの大蛇のようだ。
ルロイもまた、この蛇に鋭い眼差しを投げかけた。
「お前は何者だ、どうして俺の名前を知っている」
ルロイが凄むと、大蛇はしゅーしゅーと音を立て、彼に近づいた。
大蛇は恐れる様子もなく、まるでやりとりを愉しむかのようにルロイの顔をじっと見た。
「私はオルガ。ボーモン大佐の妻よ」
大蛇は舌をちろちろ動かしながら言う。
「嘘だ、お前がボーモン夫人なものか」
ルロイは懸命に声を張り上げた。
負けてなるものか、夫人の名をかたる化け物め。
彼は腰元のサーベルを抜き、大蛇目がけて振り上げた。
「本当よ、私はオルガ・・・・・」
ルロイの一振りは、急いで踵を返す大蛇の体に掠ったようだった。
ルロイの豪胆さに恐れをなした大蛇は闇の中に消え、ルロイだけが取り残された。
欲望に打ち勝ったルロイは僅かな喜びを感じつつも、なぜか胸のつかえが消えていないことに気が付いた。
朝の光でルロイは目を覚ますと、謎の大蛇が夢であったことに胸をなでおろした。
が、安心するや否や、ルロイは白いシーツに血の染みがついていることに気が付き、身震いした。
もしかしたら、あれは夢ではないのかもしれない・・・恐る恐る部屋を見回してみるが、大蛇の姿はなかった。
ルロイはひとまず安心するが、シーツに染みついた一滴の血を見ると、昨夜の恐怖が蘇ってきた。
謎の女の声が何度も彼の名を呼んでいた。
ルロイは振り返るがそこには誰もおらず、代わりに一匹の大蛇が紅い舌を覗かせ、宝石のように冷たく輝く目で彼を睨めつけていた。
「私に呑まれてしまいなさい、ルロイ・ソガ」
どうやら、声の主はこの大蛇のようだ。
ルロイもまた、この蛇に鋭い眼差しを投げかけた。
「お前は何者だ、どうして俺の名前を知っている」
ルロイが凄むと、大蛇はしゅーしゅーと音を立て、彼に近づいた。
大蛇は恐れる様子もなく、まるでやりとりを愉しむかのようにルロイの顔をじっと見た。
「私はオルガ。ボーモン大佐の妻よ」
大蛇は舌をちろちろ動かしながら言う。
「嘘だ、お前がボーモン夫人なものか」
ルロイは懸命に声を張り上げた。
負けてなるものか、夫人の名をかたる化け物め。
彼は腰元のサーベルを抜き、大蛇目がけて振り上げた。
「本当よ、私はオルガ・・・・・」
ルロイの一振りは、急いで踵を返す大蛇の体に掠ったようだった。
ルロイの豪胆さに恐れをなした大蛇は闇の中に消え、ルロイだけが取り残された。
欲望に打ち勝ったルロイは僅かな喜びを感じつつも、なぜか胸のつかえが消えていないことに気が付いた。
朝の光でルロイは目を覚ますと、謎の大蛇が夢であったことに胸をなでおろした。
が、安心するや否や、ルロイは白いシーツに血の染みがついていることに気が付き、身震いした。
もしかしたら、あれは夢ではないのかもしれない・・・恐る恐る部屋を見回してみるが、大蛇の姿はなかった。
ルロイはひとまず安心するが、シーツに染みついた一滴の血を見ると、昨夜の恐怖が蘇ってきた。