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大蛇
第6章 再び蜜を味わって
「お話なら馬車の中で聞くわ」

オルガはそう言い、ルロイを馬車の中へ導いた。

ルロイはオルガと二人きりになれることに狂喜した。

一方オルガは、彼の想いとは裏腹に、馬鹿げたルロイの行為をやめさせるため、人目を忍んで馬車の中で説得する心積もりだった。

二人のそれぞれの思惑を乗せて、馬車はゆっくり進みだした。
 
「私につきまとうのはお止めなさい」

馬車の中、開口一番にオルガはそう言った。

ルロイは顔を青くする。

「ぼくはただ、あなたを愛しているだけなのです。

あなたを愛するなとおっしゃるなら、ぼくは息もできなくなり、死んでしまいます」

ルロイは熱っぽく抗議する。

「あなたが好きなんだ、オルガ・・・・・!」

ルロイはオルガの細い身体を押さえつけ、彼女の唇を奪った。

ルロイの屈強な肉体を前にしては、オルガは狼の前の羊に過ぎなかった。

「やめて!私に触らないで!」

オルガはルロイを押しのけるが、彼の鋼鉄のような胸板はびくともしない。

「助けを呼ぶわよ。夫に見つかったら、あなたの首が飛ぶわ」

「構わない。あなたを手に入れられるのなら、ぼくは何を犠牲にしても構いません」

 オルガは彼のまっすぐで情熱的な決意に驚いた。

初めて契りを交わした時、ルロイは理性にがんじがらめになっていた男だったはずだ。

彼を変えたのは、私にほかならない・・・そう思うと、オルガは自分を少し誇らしく感じた。

彼女は依然としてルロイを受け入れる心積もりはなかったが、ふいに彼のいじらしい恋心が少し愛おしくなった。

オルガはルロイの腕の中で抵抗を続けていたものの、このまま彼の慰みものになってもいいと思う気持ちが僅かに芽生えた。

「オルガ・・・・・」

気の緩んだオルガの体を、ルロイは強く抱きしめた。

オルガの心臓は、恐怖とも焦りとも興奮ともとれる感情のせいで早鐘を鳴らす。

ルロイはオルガの唇に噛みつかんばかりにキスをし、そして露わな胸元に手を伸ばして彼女の温かい乳房に触れた。
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