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大蛇
第6章 再び蜜を味わって
ルロイを気に入ったアンヌの両親から、その後彼は何度も夕食に招待された。

彼らは何としてもルロイを娘の婿にすることを望んでいた。

勇気があり、それでいて優しい物腰のルロイ・ソガは、きっと娘を幸せにしてくれるに違いない。

それに、将来を約束された素晴らしい職に就いているのだ。

ルロイはそんな彼らの期待を疎ましく感じつつも、ボーモン大佐からの無言の圧力により、彼は招待を一度も断らなかった。

ルロイは笑顔のマスクを貼りつけ、表向きは至って穏やかに対応した。

ある時、アンヌの両親はルロイと娘を彼女の部屋で二人きりにした。

アンヌの部屋の中は甘たるい匂いが満ち、ぬいぐるみや人形など少女らしいものに溢れていた。

ルロイは武骨な自分を場違いに感じ、居心地が悪くなった。

生身の男性と相対したことがないアンヌは、どうしてよいのかわからず困惑しているようであった。

「男性がこの部屋に来たことは?」

うぶなアンヌを哀れに思ったルロイは、仕方なく話を切り出した。

「いいえ、ないわ。あなたが初めて」

アンヌの答えは、ルロイの予想した通りのものだった。

正真正銘の箱入り娘だ。

「君は結婚をどう思う?」

「うーん、正直よくわからないわ」

「ボーモン大佐と君のご両親は、僕たちの結婚を望んでいるようだよ。君はそれを知っているのかな」

「ええ、『あなたの旦那様になるかもしれない方がいらっしゃるわ』とお母様がおっしゃっていたから」

「君の意見はどうなんだい」

「お父様とお母様が喜ぶなら、私はすると思うわ」

「たとえ僕を愛していなくても?」

「・・・・・・・」

アンヌは黙り、気まずそうに紅茶を啜った。

ルロイは、自分の意思のない人形のようなアンヌに失望した。

そして、オルガの砂漠に咲く花のような艶やかさと力強さが懐かしくなった。
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