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大蛇
第7章 二つの夜
凍てつくような寒さの二月、ルロイ・ソガはアンヌ・トートリッシュと結婚した。
彼らの式を見届けたのは、アンヌの両親とボーモン大佐だけだった。
ルロイは天涯孤独だったので、親族は誰もいなかった。
ルロイはオルガの姿を期待したが、彼女は教会にやってこなかった。
*
「形だけの」式を済ませると、彼らは新婚旅行へと旅立った。
ルロイは南方植民地のタイムという小国に行くことを希望した。
彼は南国の灼熱の太陽でじりじり焼かれたかったのだ。
アンヌは特に意見がなかったので、ルロイの思うままに事が運んで行った。
「おまえがこんなに早く結婚するとは思わなかったよ。
やっぱおまえ大佐に気に入られてるんだな。俺なんてちっともそういう話がねえのに」
出発前、ルロイの元へ挨拶に来たジャンがそう言った。
「それに、奥さんも美人でめちゃくちゃ若いじゃねえか。羨ましいな」
ジャンの言葉に、ルロイは苦笑いした。
彼にとって、変われるものなら変わってほしいくらいだった。
「もうこれで前の女のことは忘れたよな」
ルロイははっとした。
さすがのジャンも、ルロイの様子から、アンヌの前でまずいことを言ってしまったと気がついた。
「おっと、これは内緒にしとく話だったな。とにかく、ルロイは一途ないい男だよ」
ジャンはルロイの背中をぽんと叩き、椅子から立ち上がった。
「じゃあな、楽しんでこいよ!夜、頑張り過ぎて腰抜かすなよ」
ジャンはそう言い残し、帰って行った。
何のことかわからないアンヌは、ぽかんとした顔でルロイの方を見つめた。
彼は結婚後も、アンヌに手を付けることがなかったのだ。
彼らの式を見届けたのは、アンヌの両親とボーモン大佐だけだった。
ルロイは天涯孤独だったので、親族は誰もいなかった。
ルロイはオルガの姿を期待したが、彼女は教会にやってこなかった。
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「形だけの」式を済ませると、彼らは新婚旅行へと旅立った。
ルロイは南方植民地のタイムという小国に行くことを希望した。
彼は南国の灼熱の太陽でじりじり焼かれたかったのだ。
アンヌは特に意見がなかったので、ルロイの思うままに事が運んで行った。
「おまえがこんなに早く結婚するとは思わなかったよ。
やっぱおまえ大佐に気に入られてるんだな。俺なんてちっともそういう話がねえのに」
出発前、ルロイの元へ挨拶に来たジャンがそう言った。
「それに、奥さんも美人でめちゃくちゃ若いじゃねえか。羨ましいな」
ジャンの言葉に、ルロイは苦笑いした。
彼にとって、変われるものなら変わってほしいくらいだった。
「もうこれで前の女のことは忘れたよな」
ルロイははっとした。
さすがのジャンも、ルロイの様子から、アンヌの前でまずいことを言ってしまったと気がついた。
「おっと、これは内緒にしとく話だったな。とにかく、ルロイは一途ないい男だよ」
ジャンはルロイの背中をぽんと叩き、椅子から立ち上がった。
「じゃあな、楽しんでこいよ!夜、頑張り過ぎて腰抜かすなよ」
ジャンはそう言い残し、帰って行った。
何のことかわからないアンヌは、ぽかんとした顔でルロイの方を見つめた。
彼は結婚後も、アンヌに手を付けることがなかったのだ。