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大蛇
第7章 二つの夜
タイム行きの船は、ゆっくりと港から出航した。
ボーという汽笛が青空に響き渡り、空のカモメたちは船出を見送った。
ルロイは舳に立ち、海を見つめながらオルガのことを考えていた。
この豊かな青の中に、オルガの面影を感じていた。
飛沫の一つ一つにも、彼女は宿っていた。
ルロイは恋しい人を想い、熱い溜息をついていた。
一方アンヌは、乗り合わせた他の乗客の女性たちと話をしていた。
彼女は男性と二人きりでいるよりも、女性たちと一緒に居る方が好きだった。
ルロイのことはもちろん嫌いではないのだが、彼のがっしりした肉体は彼女を少し怯えさせた。
それに、自分といても他のことを考えているようなところが苦手だった。
すれ違いの二人は、船内で食事以外を別々に過ごした。
一週間後、船はようやくタイムに到着した。
ルロイは船から降り立った時、その日差しの強さに眩暈を覚えた。
彼の額から汗が拭き出し、体は火照り出した。
彼は噛みつかんばかりのタイムの熱気に魅了された。
そして、過酷な自然の中での修行を思い出し、武者震いした。
方やアンヌは、信じられないような暑さにまいってしまい、力が抜けてしまった。
彼女には、ただ暑いだけのこの地を旅先に希望したルロイの気持ちがわからなかった。
ホテルに辿り着くと、アンヌは一人で先に休みたいと言った。
ルロイは承諾し、一人で町を散策することにした。
アンヌは、服を脱ぐと広い寝台に横になった。
カーテンを閉め切ったホテルの中はいくらか涼しく、心地よかった。
彼女は目を瞑り、自分の人生について考え出した。
両親は彼女の結婚に満足し、ボーモン大佐も喜んでくれた。
周りの人を幸せにできた満足感に、彼女は浸っていた。
でも、と彼女は考える。
でも、私自身は本当に幸せなのかしら?
ルロイさんは優しい人だけれど、どこか冷たいところがある。
それに、私に興味を持っていない。それは悲しいことだけど、かといって私もルロイさんを愛している訳ではない。
ルロイさんの言うとおり、愛のない結婚では不幸になってしまうのかしら・・・?
だけど、少なくてもお父様、お母様は私の結婚で幸せになってくれたわ。
それでいいじゃないの。
私の幸せは彼らの幸せなのだから・・・・・
アンヌはそこまで考えると、眠りに落ちていった。
ボーという汽笛が青空に響き渡り、空のカモメたちは船出を見送った。
ルロイは舳に立ち、海を見つめながらオルガのことを考えていた。
この豊かな青の中に、オルガの面影を感じていた。
飛沫の一つ一つにも、彼女は宿っていた。
ルロイは恋しい人を想い、熱い溜息をついていた。
一方アンヌは、乗り合わせた他の乗客の女性たちと話をしていた。
彼女は男性と二人きりでいるよりも、女性たちと一緒に居る方が好きだった。
ルロイのことはもちろん嫌いではないのだが、彼のがっしりした肉体は彼女を少し怯えさせた。
それに、自分といても他のことを考えているようなところが苦手だった。
すれ違いの二人は、船内で食事以外を別々に過ごした。
一週間後、船はようやくタイムに到着した。
ルロイは船から降り立った時、その日差しの強さに眩暈を覚えた。
彼の額から汗が拭き出し、体は火照り出した。
彼は噛みつかんばかりのタイムの熱気に魅了された。
そして、過酷な自然の中での修行を思い出し、武者震いした。
方やアンヌは、信じられないような暑さにまいってしまい、力が抜けてしまった。
彼女には、ただ暑いだけのこの地を旅先に希望したルロイの気持ちがわからなかった。
ホテルに辿り着くと、アンヌは一人で先に休みたいと言った。
ルロイは承諾し、一人で町を散策することにした。
アンヌは、服を脱ぐと広い寝台に横になった。
カーテンを閉め切ったホテルの中はいくらか涼しく、心地よかった。
彼女は目を瞑り、自分の人生について考え出した。
両親は彼女の結婚に満足し、ボーモン大佐も喜んでくれた。
周りの人を幸せにできた満足感に、彼女は浸っていた。
でも、と彼女は考える。
でも、私自身は本当に幸せなのかしら?
ルロイさんは優しい人だけれど、どこか冷たいところがある。
それに、私に興味を持っていない。それは悲しいことだけど、かといって私もルロイさんを愛している訳ではない。
ルロイさんの言うとおり、愛のない結婚では不幸になってしまうのかしら・・・?
だけど、少なくてもお父様、お母様は私の結婚で幸せになってくれたわ。
それでいいじゃないの。
私の幸せは彼らの幸せなのだから・・・・・
アンヌはそこまで考えると、眠りに落ちていった。