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大蛇
第7章 二つの夜
ルロイは町を彷徨歩いた。

剥き出しの太陽に晒されていると、彼は原始的な感覚を思い出していった。

神経は暑さでかえって冴えわたり、流れ落ちる汗は官能的な悦びを与えた。
  
市場に並ぶ色とりどりのトロピカルフルーツ、眩しい褐色の肌の人々、野晒しの獣たち。

ルロイはタイムの熱気あふれる町が好きになった。

ルロイは町のはずれまで来ると、迫り来るような濃緑の森に恐る恐るわけ入って行った。

森の中には太陽の光があまり届かず、昼間にもかかわらず薄暗かった。

彼はポケットからナイフを取り出し、目の前に生い茂る草をかき分けながら奥へと進んだ。

彼の頭上に、見たこともないような明るいオレンジ色の鳥が、奇怪な鳴き声を上げながら過った。

そこら中に溢れている生命の気配に、ルロイは恐れと興奮を抱いた。

ルロイは、夢中で森の中を進んでいった。

彼はホテルで待っているアンヌのことも忘れ、そして自分自身も忘れていた。

彼はマンゴーの木を見つけ、その実を味わった。

濃厚で香り豊かな味わいに、ルロイは夢中になる。森の恵みを食べ、森と一体化するのだ。

満足した彼は、湧き出る小川で喉を潤した。

染みるほど冷たい水が、彼の火照った体に快かった。

元気を得た彼は、さらに森の奥へと向かった。
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