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大蛇
第7章 二つの夜
アンヌが目を覚ますと、日はすでに傾き、暑さの盛りは過ぎていた。

ルロイはまだ帰っていない。

アンヌは異国に一人ぼっちでいることに、たまらなく孤独を感じた。

彼女は立ち上がり、窓の外に目をやった。

大きな赤い太陽が今まさに沈もうとしている。

アンヌの元にもそのまばゆい光が届き、彼女は目を細めた。

アンヌはふと、故郷の夕暮れを思い出した。

結婚前夜、家族三人で町へ出かけ、その帰り道に立ち止まって見たあのときの夕日を。

「タイムは素敵なところだよ。

そこに住んでいるルナールさんが、手紙でそう言っていたよ。

お前も覚えているね、お前が小さい頃、よくうちに遊びに来ていたルナールさんを。

そうだ、もし時間があればルナールさんのところに寄って行きなさい。

きっと喜ぶよ。それに、何か困ったことがあったらきっと力になってくださるはずだよ」

夕日を眺めながら、母親はそう言っていた。

アンヌは、鞄の中から手帳を取り出した。

彼女の母親は、ルナールの家の住所を娘に託していたのだ。

アンヌは、そのうちルナールの元を訪れることを決意した。

結婚したというのに、私はたまらなく不安で孤独だわ。

あのお優しいルナールさんにお会いできれば、少し気持ちが慰められそうな気がする・・・。

アンヌはそんなことを思いながら、タイムの市街地の地図からルナールの家を探した。
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