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大蛇
第7章 二つの夜
その夜、オルガは自室に閉じこもり、ルロイのことを考えて自分を慰めていた。

彼女の細い指は彼のそれとは似ても似つかないものだが、オルガは懸命にルロイの手を思い出し、自らの体に這わせていた。

ルロイの情熱、ルロイの眼差し、ルロイの体、ルロイの心。

オルガはルロイのすべてが欲しくなっていた。

他の女に盗られるなんて、思ってもいなかった。

自分を忘れるなんて、考えてもみなかった。

オルガは悔し涙に頬を濡らした。

その時、ノックの音と共に部屋の錠が開けられ、ボーモン大佐が姿を現した。

一瞬の出来事だった為、オルガは身づくろいをする暇もなかった。

あられもない自慰に耽る姿を夫に見られ、彼女は赤面した。

「夫とはいえ、無礼ですわ」

オルガはスカートを直しながら毒づいた。

「これは失敬」

大佐はそう言いながらも、実は妻がマスターベーション中であることをあえて知りながら侵入したのだった。

「実は、今日はお前に紹介したい人が来ていてな」

大佐の後ろから、二人の男が姿を現した。

オルガは他人に自分の秘密を見られたことに、かっと顔が熱くなった。

「こんばんは、オルガさん。既にウォーミングアップなさっていたとは、素晴らしい。オルガさんの姿に、こちらも火がつけられましたよ」

「君もどこかで会ったことがあるだろう、ドナシアンとアルだ」

二人の男は紹介を受けると大佐の前に進み、オルガに軽く頭を下げた。

彼らはプレイボーイで名高い男たちだった。

ドナシアンは、女性がうっとりするような美形だったが、目の奥はぎらぎらした脂ぎった欲望に塗れていた。

一方アルは、寡黙で真面目そうな大男だったが、実は何よりも女性が好きな好色漢で、多くの女性と浮名を流していた。
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