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大蛇
第7章 二つの夜
ルロイはふと、この女神が与える印象は、オルガのそれと非常に似通っていることに気が付いた。

魅せられてしまうことに怯えながらも、実は何よりも彼女に取り込まれてしまうことを望んでいる。

彼は女神に敬服し、深々と頭を下げた。

そんなルロイの様子に、アンヌは頭が混乱していた。

彼女にとってこの女神像は、嫌悪すべき醜いものでしかなかった。

優しくたおやかな女神なら自分も喜んで頭を下げたいが、このような化け物じみた神に、ルロイが畏敬の念を抱く理由がわからなかった。

醜いことや絶対的な悪を知らないアンヌにとって、それらは理解不能なものであった。

そういった物事は彼女の世界から排除され、綺麗で可愛らしく、穏やかなものだけが残されていた。

彼女は人に好かれるような毒のない娘らしさがあったが、その性質は嫌なことから目を背けてきた結果に過ぎないのである。

今、彼女の中でこの醜い女神の存在は否定されようとしている。

それは一見、悪に屈しない美徳のようであったが、その実、自分の中の悪を否定しようとする「傲慢」に他ならないのである。

アンヌは、否定してもしきれない女神の不気味さに身震いした。

「もう行きましょう」

アンヌは、初めてルロイの意思よりも自分の意思を優先した。

ルロイはアンヌの言葉に、内心感謝した。

もし彼女が止めなければ、彼は女神に見入るあまり、気がおかしくなっていたかもしれないからだ。

「ああ」

ルロイは言い、名残惜しい気持を抱きながら踵を返した。
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