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大蛇
第3章 睨まれた男
オルガ・ボーモンは、性機能のない夫を愛していた。
ただ、それはエロスを孕んだ愛というよりも、親が子に向けるような類の愛であった――いや、むしろ親の立場であるのはボーモン大佐であるだろう――。
もちろん二人の間には男女の関係はなく、大佐は妻が別の男と寝ることに関しても寛容だった。
なぜなら、彼には自信があったからだ。
オルガは自分以外の男を愛しはしない。
これほどの愛で彼女を包み込める男は自分をおいて他にいない――と彼は強固に信じていた。
一方オルガも、自分のわがままをどこまでも許してくれる夫を、父親のように慕っていた。
ボーモン大佐は、妻がルロイに興味を持ったことに気づいていた。
あの男の童貞を弄ぶのもよかろう。
それで彼女が喜ぶのなら。
ルロイ・ソガもこれほどの上玉に貞操を摘み取られることに満更ではないはずだ。
――実は、ルロイが童貞であることは軍内部で有名な話であった。
同僚が曖昧宿に誘っても乗ってこないし、かといってガールフレンドがいるわけでもないので、男色家か童貞かどちらかだと言われていた。
本人はそのような下種な話にはまったく耳を貸さなかったが――
今夜の様子だと、ルロイもまたオルガに惹かれていた様子だったな。
彼女を見た途端言葉を無くし、目を合わせることもできなくなっていた。
女に馴れていない、典型的なチェリーボーイの反応だ。
これから二人がどう出るか、見ものではあるな。
「ルロイ・ソガは、君の好きなようにしなさい。いずれまた彼をここに呼ぼう」
大佐は妻の耳元に囁いた。
オルガは不敵な笑みを浮かべ、はい、と返事した。
それから彼女は執事のウィルを呼び、暗がりの中で彼と交わった。
大佐が前の戦争から帰還した当初、彼は妻に自分の男性器が不能になったことを秘密にしていた。
大佐はカモフラージュのため、暗闇の中で執事のウィルを替え玉にし、妻とセックスさせていた。
ウィルは大佐と同じくらいの体格で、性器のサイズも彼に近かった。
しかし、オルガは違う男性であることをすぐに見破った。
彼女は夫の機能が永遠に失われたことを遺憾に思ったが、すぐに夫との淫らなゲームに夢中になった。
大佐にとって、妻の悦びは自分の悦びだった。
夫妻は愛し合っていたからである。
だが、その愛のかたちは非常に歪であった。
ただ、それはエロスを孕んだ愛というよりも、親が子に向けるような類の愛であった――いや、むしろ親の立場であるのはボーモン大佐であるだろう――。
もちろん二人の間には男女の関係はなく、大佐は妻が別の男と寝ることに関しても寛容だった。
なぜなら、彼には自信があったからだ。
オルガは自分以外の男を愛しはしない。
これほどの愛で彼女を包み込める男は自分をおいて他にいない――と彼は強固に信じていた。
一方オルガも、自分のわがままをどこまでも許してくれる夫を、父親のように慕っていた。
ボーモン大佐は、妻がルロイに興味を持ったことに気づいていた。
あの男の童貞を弄ぶのもよかろう。
それで彼女が喜ぶのなら。
ルロイ・ソガもこれほどの上玉に貞操を摘み取られることに満更ではないはずだ。
――実は、ルロイが童貞であることは軍内部で有名な話であった。
同僚が曖昧宿に誘っても乗ってこないし、かといってガールフレンドがいるわけでもないので、男色家か童貞かどちらかだと言われていた。
本人はそのような下種な話にはまったく耳を貸さなかったが――
今夜の様子だと、ルロイもまたオルガに惹かれていた様子だったな。
彼女を見た途端言葉を無くし、目を合わせることもできなくなっていた。
女に馴れていない、典型的なチェリーボーイの反応だ。
これから二人がどう出るか、見ものではあるな。
「ルロイ・ソガは、君の好きなようにしなさい。いずれまた彼をここに呼ぼう」
大佐は妻の耳元に囁いた。
オルガは不敵な笑みを浮かべ、はい、と返事した。
それから彼女は執事のウィルを呼び、暗がりの中で彼と交わった。
大佐が前の戦争から帰還した当初、彼は妻に自分の男性器が不能になったことを秘密にしていた。
大佐はカモフラージュのため、暗闇の中で執事のウィルを替え玉にし、妻とセックスさせていた。
ウィルは大佐と同じくらいの体格で、性器のサイズも彼に近かった。
しかし、オルガは違う男性であることをすぐに見破った。
彼女は夫の機能が永遠に失われたことを遺憾に思ったが、すぐに夫との淫らなゲームに夢中になった。
大佐にとって、妻の悦びは自分の悦びだった。
夫妻は愛し合っていたからである。
だが、その愛のかたちは非常に歪であった。