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五十嵐さくらの憂鬱。
第2章 …2
「あれ! 泣いてんのー?」

軽い声が聞こえて、気づけば数人の若い男に
周りを囲まれていた。
驚いて顔をあげれば

「あ、やっぱ泣いてるー!」
「うわ、美人じゃん!」

やんややんやと黄色い声が響く。
あまりにも耳障りで、さくらは無視して通り過ぎようとした。

「ちょっと待ちなよ。
そんな顔で歩いてたら
変な男に襲われちゃうよ?」

腕を強くつかまれ
不覚にも見ず知らずの男に寄りかかった。

「髪の毛ちょういい匂い!」

後ろから無理矢理抱きつかれ、
やめて、と大声を出したが
それ以上に大声でいろいろ男たちがわめけば
さくらの声などすぐにかき消されてしまう。

ベタベタと身体を触られて
もがけばもがくほどに後ろから抱きついた誰かの腕が
みぞおちに食い込んでくる。
その吐息から、お酒のにおいがした。

ーーーどうしよう。こわいーーー

「ねー、カラオケ行こうよ! 楽しませてあげるよ!」
「そんな顔してないで 俺たちと遊ぼ」

ふざけるな。
さくらは一瞬おとなしくなったふりをして、
気持ち悪く締め付けてくる腕の力が緩んだ瞬間
ヒールで思い切りかかとを踏みつけた。

「いってぇ!!!」

踏まれた男が驚いてさくらを手放し
その隙に駆け出した。

恐ろしい怒号が後ろから迫ってくる。
振り返ることもできずに
さくらはがむしゃらに走った。
息が上がり、
ヒールが何かに挟まって脱げそうになって
その場に倒れこむと髪の毛をつかまれて引っ張られた。

「てめぇ、なにしてくれてんだよ!」
「せっかく優しくしてやったのに!」

さらに髪を引っ張られ、悲鳴をあげた。

「はなしてよ! 」
「ちょっと顔が綺麗だからっていい気になるなよ!」

引っ張られた髪の毛に手を伸ばしていたため、
胴体がすきだらけだった。
それをいいことに、うしろから抱きつかれて
胸を鷲掴みにされる。

「いや!」

叫ぶ口を、大きな手が覆いかぶさってくる。
男たちの手がさくらを触る。

ーーー気持ち悪いーーー!

スカートをまさぐられそうになった時。

「はい、そこまで」

よく通る低い声がした。
その場にいた全員が、声の方を振り返る。

「お遊びはそこまでだよ。ちゃんと、録画したからね」

ニヤリ、と笑う顔に、さくらはなぜか安堵した。
そこには、稲田樹が両手で携帯を持って
首を傾げて笑っていた。
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