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第5章 月への道を

建築家たちを集めたパーティが開かれた。

パーティと言っても情報交換の交流を目的としたパーティだった。

今回のパーティにも、ユウイチには、華やかな取り巻きがたくさん群がっていた。


紺色の膝丈のワンピースを着た女性がいた。

りえだった。

りえはあの男と一緒に名刺を交換していた。


ユウイチは、意を決して
取り巻きを掻き分けてりえの元に向かった。


「りえ」

ユウイチがりえを呼ぶと、
りえは振り向き
ユウイチの顔を見ると
笑顔で、会釈した。

りえの会釈にりえの連れの男性も気付き会釈した。

りえに近付くと、ユウイチの取り巻きが
ユウイチの腕を握り、
「こちらへ」
と、案内した。

ユウイチは、取り巻きの腕を静かに解き
「後で…」と手をあげた。

そして、りえに近付き
抱きしめた。

周りは皆、ユウイチが抱きしめた女性…
りえを見た。

りえは懐かしいユウイチに抱かれ
ユウイチの匂いを嗅ぎ
ユウイチの感触を感じ
涙が溢れた。