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第5章 月への道を

りえは、ユウイチがりえに気付く前からずっと前にユウイチと何度か出会っていた。

ユウイチを見かける時は
綺麗な女性と一緒だった。
腕を組み、顔を近づけて楽しそうに会話をしていた。

なので、声もかけられずにいたのだ。


朝になり、
りえの双子の子供達を保育園に送る時間になり
りえはアパートを出ると同時に
りえと一緒に設計事務所を経営している
あの男性がやってくる。

この男性は、
お手伝いの新井が経営している小料理屋の板間の息子だった。
りえがタクヤからのDVを逃れる為に、姿を消し、
新井と板前が手を貸してくれ、
ちょうど、板前の息子さんが仕事を独立した時で
手助けをして貰える人を探していた時だった。

この板前の息子の苗字をそのまま借りて名乗っていたのだ。