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Moon road〜月への道
第5章 月への道を
事務所に着き、ユウイチの顔を見ると
昨夜、ユウイチを想い身体が疼いていた自分が恥ずかしかった。

「おはようございます。」
素っ気なくりえは挨拶をした。

そしてふと気付くと
昨夜子供たちが描いた絵が
額に入れられ飾ってあった。

「あ…これ…」

りえは絵を見ながら、ドキドキした。
そして嬉しく思いながら

「やっぱり親子ね。ほんと、すぐにしっくり馴染んでしまったものね。」

思わず呟いてしまった。

「りえ?」
ユウイチは、りえに聞き返そうとした。

「あ…。」

りえはしまったと思いながら
話しを逸らそうとした。


その途端に事務所のドアが開き

「また、昨日すっぽかしたわね!」

昨日の女が怒りたがらやってきた。

「だから、昨日は断ったじゃないか。」

「いつもあなたはズルいわ。気のある素振りをしたり、行けるかもしれないし、行けないかもしれないと、少しだけ期待を持たせて待たせたり…
あなたをどれだけ待ったと思うの?仕事、仕事と言いながら…私を待たせ、騙して…」

女は溜まっていたものを吐き出すように
喚き散らしていた。

女の声が止まり
りえの子供たちの絵に目がいった。

女は絵をジッと見つめ
「これは?」
と、尋ねた。

「俺の子供たちが描いた絵だ。うまいだろ?」
目を細めて言うユウイチに
女はツカツカと近付き
平手でユウイチの顔を叩いた。

「何よ!優柔不断男!」

そう言い

「嫁だかなんだか知らないけど、この優柔不断男に騙されて、あなたも地獄に落ちなさいよ!」

りえは最初はこの女の口調にポカンとしてしまっていたが
「もう、私は地獄に落ちて、お勤めをしてきたのよ。」
そう言い
「確かに、お義父さんは優柔不断ね」
と、笑った。

女は泣きながら事務所のドアを閉め帰っていった。


「優柔不断か…」

ユウイチは苦笑した。

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