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第5章 月への道を

りえがリビングに行くと
ユウイチとタクヤは談笑していた。

「お茶をいれりるわね。」

ふと見ると、リビングのテーブルには書類があった。

「仕事の話しかしら…」

りえはキッチンでアールグレイをいれ考えていた。
そしてそれを持ってリビングに行った。

ティーカップを置くと
婚姻届があった。

りえには誰のものか想像もつか無かった。

「誰か結婚するんですか？」
りえは二人を見ながら尋ねた。

「タクヤだよ。」
ユウイチが答えた。

りえは一瞬固まり
「え？タクヤさんが…？え？」

「タクヤも良い年だし、孫の顔を見たいから。」
ユウイチはりえに答えた。

タクヤはりえを見つめていた。

りえは視線を婚姻届に釘付けになり
妻になる人の欄を眺めていた。


「りえはタクヤの結婚をどう思う？」

りえはユウイチの問い掛けに
考え込み、タクヤをチラリと見た。

タクヤはりえを真っ直ぐに見つめていた。

りえは泣きそうになるのを堪え
「タクヤくんにとって素敵な人がいるのならいいと思うわ。」

りえはその場に居られなく
「子供達を見てきます。」

そう言ってリビングから逃げ出したのだった。