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Moon road〜月への道
第5章 月への道を
数日振りにりえは外に出た。

京友禅の色留袖は、桜が描かれ
薄く黄味掛かった色合いがりえにとても似合っていた。

ユウヤとユウナは
りえとタクヤと手を繋ぎ、満開の桜の並木道を歩いていた。

「天気が良くて良かった。お花見、早くしないと桜が散ってしまうね。」
タクヤは桜を見上げながら
庭の大きな桜の木を思い出していた。

りえも桜の花の匂いを嗅ぎながら桜並木を見ながら
幻想的な満開の桜が怖く感じていた。


小学校の校門も潜り
体育館で入学式が行われた。

名前を呼ばれると、ユウナもユウヤも大きな声で返事をしていた。

その姿をりえは涙ぐんで見つめ
タクヤは懸命にビデオをまわしていた。


りえはユウイチの事が心配だった。
式が終わり、教室でこれからの説明を聞き
足早にユウイチの元に戻った。

ユウイチは薬で眠っていた。
医者が丁度往診していた。

「心臓がだいぶ弱ってます。病院で処置したら少しは良くなるかも知れないです。」

心臓は良くなっても毎日の痛みは続くんだろう…
りえはどうしたらいいのか分からなかった。

「今、病院に行き暫く治療したら治るのなら
今すぐに病院に無理にでも入れるのに…」

りえは、力が抜けてしまった。

タクヤはユウイチが目を覚ましたらビデオを見せようと準備をし、
新井に頼んで花見弁当を作って貰っていた。

桜の木の下にゴザを敷き、低いテーブルを置いた。

花びらがヒラヒラと時折落ちてきていた。





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