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第10章 挨拶

「何それ？お父さんが言ったの？そんなこと…。」

母は、あたしの顔をジロリと見て血相を変えた。

「違うわよ！そんな事絶対にないから‼︎
お父さん…あんたの事が可愛くて仕方なかったんだから‼︎」


「……⁈
嘘っ…父さん、あたしが産まれるから仕方なく結婚したって…。もう解放して欲しいってあたしに言い捨てて出て行ったんだから！」


「……。そんな事を言われたの？
ゴメンね…。」


母は、黙り込むと静かに涙を流してた。

あたしを見つめたまま
自分が涙している事にも気付いていないのだろう。

母の涙が静かに頬を伝い、テーブルに小さな水溜りを作っていくのを見て、あたしは取り返しのつかない事を口にしてしまったと、後悔して唇を噛み締めた。