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第10章 挨拶

「そろそろ着替えたりしなくちゃね。お母さん、スーツでいいかしら？」


母は、そわそわと立ち上がり準備をしだした。


「いいんじゃない？あたしも、適当な服がないや…。スーツでいいかなぁ。」


急なことで、何を着ていいか迷ってしまう。

お友達の結婚式の時に着た、少し華やかなワンピーススーツを選んだ。


隆盛も、着替えて来るって言ってたからスーツで来るのかな？

なんて考えながら、お化粧したり髪をセットしたりしていたら約束の時間がいつの間にやら近づいていた。


「母さん、準備できた？」


母は、スーツに着替えて緊張した面持ちでソファーに座っていた。


「緊張するわね。こんな三十路の娘、こちらから熨斗をつけて渡すのに。挨拶だなんてねぇ。」


わたしもそうは思うけど、ハッキリ言わなくても…。