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第10章 挨拶

「すまない…突然。」

父は、取り乱した様子であたふたと答えた。

「来てくれたんですね。留守電聞いてくれたから？まぁ、ここでは何ですから上がって下さい。

隆盛さん、連れて来てくれてありがとう。
どうぞ、上がって下さいね。」


母は、まだモタモタと引き返そうとする父の手を掴み、強引に玄関の中に引き込むと、和室の居間へ通した。

隆盛は、その様子を見て苦笑しながらあたしを見つめて頷くと、父に続いて居間へと向った。

「お邪魔します。」

隆盛は、両親に丁寧に腰を折ってお辞儀をすると母の勧める向かい側の座布団に座った。

シーンと静まる居間で、最初に口を開いたのは母だった。

「お茶…入れるわね。」

あたしも、慌ててたちあがり

「手伝うよ。」

「いいのよ、新菜は座って隆盛さんのお相手してあげて？」


…正直、この空気に耐えられないからお手伝いしたかったのに。