パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第11章 父

隆盛が差し出してくれたハンカチを借りて、涙を押さえた。

こんな日が、来るなんて思ってもみなかった。

きっかけは、いつも隆盛からだ。


「隆盛…ありがとう。」


隆盛に、小さな声で囁いた。

隆盛は、あたしの手を優しく握りしめて笑いながら頷いた。




「ねぇ、お父さん
籍は、いつ入れましょうか？
私があなたと再婚だなんて…
いいのかしら？」

母が、楽しそうに笑いながら聞くと

「いつでも構わないよ。何なら今日を記念日にしようか？早く、籍を入れないと新菜達が困るだろうからね。」

父も、幸せ一杯の様子だ。



復縁かぁ…。
幸せそうな両親を見て、あたしまで幸せな気持ちが溢れて止まらなかった。





ツンツン！

「 隆盛…どうかしたの？」

隆盛に、肘で突つかれた。

隆盛は、心無しか顔色が悪く落ち着かない様子だ。額には、薄っすらと汗が噴き出していた。

いつも冷静な、隆盛の様子がおかしい。


「 不味いな、バレるぞ。」


コソコソとあたしに囁いた隆盛は、目が泳いでた。


「 何がバレるの？急に汗かいて。」


あたしは、先ほど借りたハンカチを差し出しながら尋ねた。

隆盛は、あたしを見つめヤレヤレとばかりに溜息を吐き出した。

差し出されたハンカチで冷汗を拭うと


「 鈍いな…戸籍だよ。
お前の籍は、もう抜けてる。戸籍上、もう俺の妻になってるだろうが。
ハァ〜、こんな形でバレるとか、ある意味奇跡だな。
しかも、この様子だと俺たちと結婚記念日が同じの今日かも、とか…笑えないか？」


「 あっ…。」