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第13章 挨拶 2

隆盛の返事も聞けないまま、ご両親がお見えになってしまった。

こ、心の準備が…。

あたしは、ソファーから立ち上がり隆盛のご両親を待ち構える。


「 やぁ〜
お待たせしてしまって申し訳ない。」


いかにも人の良さそうな恰幅の良い、熊さんみたいなお父様と、対照的にスラリとしたナイスバディが白衣に映える、キリッとした美人のお母様が現れた。


隆盛は、あたしを和やかに紹介した。


「 忙しいのに呼び出して、申し訳ありません。
こちらは、俺の妻になりました、新菜です。
新菜、俺の親父に母親のめぐちゃんだ。」

あたしは、何とか落ち着いて挨拶した。

「 はじめまして、新菜と申します。末長く、宜しくお願いします。」

ペコリと頭を下げる。

「 はじめまして、新菜さん。隆盛の父、滝沢 辰巳です。」

隆盛のお父様に、右手を差し出され、おずおずと握手した。

肉厚で、柔らかい掌は温かくて安心感がある。

「 宜しくお願いします。」

ニコニコの笑顔をお父様に向けられ、釣られてニコリと笑顔で返してしまう。

あたし…、上手く笑えてるかしら？

あまり、自信がない。

「 よろしくね、新菜さん。母親の、恵(めぐみ)よ。めぐさんと気軽に呼んで頂戴。」

こちらは、ニコリともせずにフランクな愛称で呼ぶように言いつけられた。

右手を無言で差し出され、あたしはその手を握りながら

「めぐさん…よろしくお願いします。」

と、勇気を出して答えてみた。

すると、わずかに口元を緩めたように見えた。

喜んでいるようだ。


「 …あたしのことも、新菜とお呼び下さいね、めぐさん。」

すると、また口元をほんの少し緩ませた。

これが、彼女の笑顔なのだろう。

怒っている訳ではないらしい。